2012年6月3日 ヨハネによる福音書14章15~24節
「助け主・真理の霊」 牧村元太郎牧師

今日は主イエスが十字架の死から復活されてから50日目にあった弟子達への聖霊降臨を覚える日です。主イエスの十字架上の死のゆえに絶望している弟子たちに、復活された主イエスは、40日に亘ってご自身を現され、信じない弟子たちを諭し、慰め支えました。そして主は、弟子達を地上の世の只中に残して天に昇ってゆかれました。弟子達は主を十字架につけたエルサレムの人々を恐れて潜んでいたものの、もはや失望することはありませんでした。なぜなら、主は弟子達に、ご自身が再び来て、そのときこそは、天地万物が改まり、神の国が来ること、主が地上に不在のそれまでの間、弟子達には聖霊が降り、上から力を与えられて、エルサレム、ユダヤ、サマリアそして地の果てまで、主の証人となるという約束が与えられて、彼らは信じて待つことができたからです。果せるかな、その10日後、弟子達は天から、風のように心の闇を吹き払う神の息、分かれ分かれになって各人の心に宿って、古きものを焼き尽くして語る巨大な火の舌とでも形容するほかないような仕方で、聖霊なる神が弟子達の心を満たし、弟子達は、口々に神の大きな業について語りだしました。それは、はじめは、われならぬ魂の底からわきあがる喜びの雄叫びとして、やがて、ペトロが語ったように「あなたがたが十字架につけた主を、神は甦らせてくださった」と人間に理解可能なことばとなって、人々の前でほとばしり出ました。そしてその言葉は、種々の違った言語を話す人々の心を捉えたのです。こうして主イエスの群れである教会が誕生しました。そして、世界に広がっていったのです。
 ヨハネによる福音書では、主イエスは、主が地上を去ろうとするので不安で胸がつぶれそうになっていた弟子達と、地上での最後の語らいをなし、その中で、この聖霊を、パラクレートス=「助け主」(口語訳:新共同訳では「弁護者」=支持し、寄り添う方)と呼んで、それを、地上におけるわたしなき後、あなたがたに送るように、父にお願いしようと、に約束されます。しかもそれは、真理の霊だ、といわれるのです。真理とは、単に私たちの思いではなく、思いがどうあろうと、厳然とあり、かつ、隠れておらず、自分の明確に知らせてくるもののことであります。神様はそういう方です。神様はイエス・キリストを送って、ご自分が罪と死に打ち勝って勝利される方、助け、支持し、寄り添う方であることを示されました。しかし、目に見えるイエスによってよりもさらに大きく強く、目に見えない聖霊によって、神は御自分がそのような方であることを知らされるのです。

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