2017年4月23日 聖書:ルカによる福音書 4章1~12節「人は何で生きるか」豊田護兄

 先日富山に行きました。富山湾に浮かぶ立山連峰を見る為にはるばる行きました。海岸で雲が晴れるのをじっと待っていると、おばあさんが来て何をしているのかとたずねるので、「山が見たくてここに来た」と答えると、「ここには何もないのにね」と不思議そうな顔をしました。そうでしようか、水は素晴らしく美味しく空気はすんでいます。人も少なくノンビリしていますし、魚をはじめ食べ物はとても美味しい所です。洒落たお店も、高級なレストランもレジャー施設も今はやりの物はなにもないところですが、人が暮らすことにとって最も大切な全てがそこにあります。「何もないけど、全てがそこにある」という気がします。
 アメリカという国は、物や経済的な利益ばかり追い求めて来ました。その結果、物は作らずに架空のマネーである金融取引に熱を上げ今にいたりました。その結果戦争でしか利益を上げることのできない格差の激しい貧しい国になりました。今日本も同じ道を歩もうとしています。
「心配りができ、まじめに良く働く日本人」という言葉は死後に成りつつあります。私たちは豊かになった変わりに大切な何かをなくしてしまったような気がします。貧しいアジアの留学生は、とてもまじめで優秀だそうで、いま企業は、日本の若者ではなく彼らを求め始めています。
アメリカと同じように、パンばかり求めてきた日本の未来はどうなるのでしょうか。今もう一度「人はパンのみに生きるにあらず」という言葉を考え直す時ではないでしょうか。

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