2017年10月15日 聖書:コロサイの信徒への手紙2章6~8節 「受け入れるということ」 豊田 護兄

人は受け入れなければならないことが沢山あります。そしてそれは
「真実」でなければなりません。「事実」ではなく「真実」なのです。
人は「事実」と「真実」を、かん違いすることがよくあります。
 先日、広重と北斎の浮世絵を見に行きました。浮世絵に描かれた風景は、写実的な景色とは、ほど遠い世界です。でも感動するのです。そこに心を揺さぶる何か、つまり「真実」があるからです。「事実」を超えた何かがそこにあるからです。
 今年のノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロさんが、同じような事を、戦後のフランスを例に取って、小説におけるフィクションについて話していました。同じように「心を揺さぶる何か」がそこにある事が大切で、心を揺さぶらない事実は、心を揺さぶるフィクションにはとうてい及ばない、そしてその力によって人は生きる力を得るのだと話していました。
 人は、心に感じる真実を受け入れることが大切だということです。人の世の哲学すなわち事実に惑わされることなく、心を揺さぶるキリストの「真実」を受け入れなさいと今日の聖書の箇所は述べているのではないでしょうか。

聖書のお話