2019年2月24日 聖書:創世記17章1~8節,15から19節 「古い契約」楊周漢牧師

今日の聖書本文にはアブラムの年齢が記録しています。99歳。アブラハムが、神様から呼ばれて祝福の約束をもらったのは75歳の時ですので、24年という長い年月が過ぎた時期です。神様からの約束にも関わらず、99歳になった現在まで、まだ子孫が生まれていません。皆さんの中にもアブラハムのように、神様の約束がなかなか成し遂げられないまま時間だけが流れている、と思う方がいるかもしれません。しかし不思議なことは、神様の約束とは時がある、という事です。人は神様の約束であるので、すぐ成し遂げられると思ってしまいますが、アブラハムの生涯を通して解られることは、神様の約束とは、時、即ちプロセス(過程)があるという事です。これを聖書は「導き(摂理)」と告白します。
アブラムの物語は12章から始まるように見えますが、実は11章27⁻32節の「テラの系図」をじっくり読む必要があります。テラの系図を通して、アブラムが神様に会う前に置かれている状況を読み取ることができます。アブラムに父であるテラの家庭は「カルデアのウル」という当時の文明の中心地に住んでいました。しかし彼らはウルから移住の計画を立てます。皆が住みたがりそうな発達した都会地から、移住の計画を立てた理由が何であるのでしょうか。明らかにしていないですが、二つの理由が取り上げられます。一つは三番の息子(末子)であるハランの死です。親より先に息子が亡くなった経験はテラの家庭に大きな襲撃(悲しみ、傷)になったのに違いありません。二つ目の理由は長男であるアブラムの妻であるサライの不妊です。古代に長男家に子孫が生まれない事はこれからの希望が無くなったという意味になると思います。つまりテラの家庭は死と不妊がもたらす悲しみ、痛み、絶望を経験した「カルデアのウル」から、新しい希望を持ってカナン地方への移住を計画しているように見えます。しかしカナン地方への移住というテラ計画は途中で失敗してしまいます。父テラは「ハラン」という都市で留まり、そこで生涯を終えてしまいます。
創世記12章の神様の呼びかけは、父テラの家庭で育てられたアブラム、過去の痛みと絶望と現在の失敗の中で置かれているアブラムへの一方的な約束です。アブラハムが神様の約束を受ける資格(状況)を持っていたわけではありません。アブラムが神様の祝福の約束を受けるようになったのは、ただ神様の御言葉を信じて自分の人生を新たな約束へ出発させたことです。
しかし神様から選ばれたとしてアブラムが直ぐに立派な信仰者となっかとしたら、そうではありません。アブラムは何度も失敗して神様の約束を忘れてしまいます。素晴らしいのはアブラムではなく神様の信実さです。神様はアブラムが失敗した時に、何度もアブラムにお現れになり、新しい御言葉を語って下さり、最初の約束を確認してくださいます。アブラムは完全な信仰を維持する事は出来なかったですが、彼から学ぶ事は神様の御言葉が語られた時にその度々に神様の御言葉を謙遜に聞き、神様の約束を再び受け入れ、自分の人生を再出発させた事だと思います。皆さんの人生の上にも神様の約束が成し遂げられる祝福が豊かにありますようにお祈りいたします。

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