2019年3月17日 聖書:テサロニケの信徒への手紙Ⅰ   5章12~24節「勧めにしたがって歩もう」鈴木重宣牧師

 今日の聖書箇所は今年度の年間聖句の箇所です。大変有名でクリスチャンなら一度は読んだことがある聖書箇所かと思います。パウロによって記された最初の手紙だとも言われています。ご存じパウロと言えば、熱いか冷たいかいずれかであってほしい、と手紙に書くほどですので、彼はおそらく夏好きもしくは冬好きです。中途半端な春なんてちっとも好きじゃない、そんな人だったかもしれません。みなさんの周りにもいるかもしれません、信仰的に情熱家で、物事がはっきりしていないと気が済まないという人が。さてパウロはテサロニケの信徒に対してはどんな情熱を込めて手紙を書かれたのでしょうか。
 いろんな勧めがたくさん記されているのが今日の箇所です。「兄弟たち、あなたがたにお願いします」「兄弟たち、あなたがたに勧めます」という言葉で導かれ、さまざまなすべきこと、したほうがよいことが続きます。人並み外れた行動力の持ち主で信仰熱血漢のパウロさん!というイメージとは違い、「お願いします」「勧めます」という言い方はずいぶん丁寧で腰が低いように感じます。まるでセールスマンの営業トークのように、手を変え品を変え矢継ぎ早に「お願い」と「勧め」を繰り返していきます。さすがパウロさん、というところでしょうか。「律法守れ!」的な命令形の厳しい縛り方ではなく、激しい信仰情熱を胸に秘めつつもソフトに「お願い」「勧め」を促していきます。「あれはだめ」「これはだめ」と怒りまくるより、「あれはいいですね」「こうしましょう」と笑顔で示す方が伝わるに決まっています。
 行動力は誰にも負けない、強い信仰のパウロ。「背中を見せて育てる」タイプと「やさしく口やかましく言ったり書いたりして育てるタイプ」の両面を併せ持つような人だったのかもしれません。そんなパウロの異邦人伝道の末に、宮田教会につらなるわたしたちもつながっています。復活の主に出会い180度変わったパウロに倣い、わたしたちも信仰者としての歩み方を今一度吟味しなおしてみなければなりません。果たしてちゃんと変えられただろうか?主に喜ばれる歩みをしているだろうか?パウロの勧めは心にあるだろうか?年間聖句はただのかざりとなっていないだろうか?と。
 受難節を歩んでいます。また年度が改まるちょうどよい機会です。私たちもパウロに倣い、福音を伝えられた者として、福音をしっかりと抱きつつ、受難のイエスを追う信仰者としての歩みを続けられているか、「勧め」に従って生きられているか、自己吟味しつつ、イースターへの備えをすすめていきたいものです。

聖書のお話