2019年9月15日 聖書:イザヤ書35章3~4節 「老いること」豊田護兄

みんな老いていきます。私自身も最近そのことを実感します。今日は1991年のヘビー級のタイトルマッチの話しをします。チャンピォンのホリヒィールドは28歳、マイク・タイソンを超える最強と言われた選手です。挑戦者は43歳のジョージ・フォアマンでした。
フォアマンは、アリに負け26歳で引退をします。その後稼いだお金を投じて問題を抱える少年の更生施設を作る傍ら、伝道師として活動を始めます。自らが若いときに相当の悪で不良少年だった経験もあり、この活動を始めます。そして40歳を迎えて、もう一つ施設を作ろうと思い、お金が必要になりカムバックします。この年でヘビー級のボクサーですから命がけです。その上体重は120キロの巨体です、最初はみんなに馬鹿にされ、ファイトマネーも1000ドル以下(十万円以下)で誰も相手にしません。それでも戦い続け20戦20勝、次々に相手を倒し、名だたる選手(20代の若者)を倒し続けついに3年後にチャンピォンへの挑戦権を獲得します。ファイトマネーは15億円だったとか。
試合は誰もがチャンプが5ラウンド以内にKO勝ちだと思っていました。ところが、チャンプをふらふらにしながら12ラウンドの最終ラウンドまで戦い抜くのです。お客は総立ちなり、フォアマンに大声援を送りました。3年まえ年寄りの冗談だと馬鹿にした記者達は言葉もありません。試合後1時間後に記者会見を開くと、集まった記者は1000人を超えたと言われます。そこでのインタビューです。
「申し訳ないのだが、明日は故郷のヒューストンで子ども達への話しをしなければならないので、今からすることになってしまった。」
「今日の試合はどうだったかい。歳を取ると言うこと、老いると言うことは決して恥ではないんだよ。それなりのリスクはあるが、知恵も力もつく、そのことを証明したいとずっと思っていたんだ。子どもたちには、言葉も大切だが、ひたすら真面目に戦い続ける姿の大切さを、身をもって示したかったんだ」
「老いることは、恥ではないのだ」と語り満場の拍手を得ます。何なのでしょう。昔この場面をテレビで見てものすごく感動したのを今でも覚えています。

人は老いると二つに分かれるのかもしれません。一つは最後までリングに上がり戦い続ける人。もう一つは、愚痴ばかりこぼし人生を恨んで朽ち果てて行く人。歳にはあまり関係はないようです。人にはその人なりの戦い方あります。先日大阪の笛の工房で、僕よりもずっと年上の職人さんたちの生き生きした姿を目にしてつくづく思いました。僕もまだまだリングから降りてはなりません。若い奴らには負けられません。あなたはどちらを選びますか。

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