2019年12月15日 聖書:マタイによる福音書2章1~12章 「真実と事実」豊田護兄

 聖書におけるキリストの誕生の物語は、歴史的な観点からは事実ではないと言うのが通説です。福音書にもマタイとルカにしか書かれていませんし。それも同じではありません。そうなるとクリスマスの話しは事実ではないということになります。でも世界中でクリスマスはあります。事実ではないクリスマスが真実として存在するのです。ある意味でサンタクロースとにています。

 現在の社会では、事実が目に見える形や結果としてとても優先される社会です。「評価」「実績」などと呼ばれてとてももてはやされますし、あたかもそのことに価値があるかのように扱われます。目に見えない形のない真実は、夢とか理想とか言われて価値がないかのようにあつかわれます。たいていは事実お金を生むが、真実はお金を生まないからでしょう。でもよく考えてみると、人が生きる上では、そして本当の幸せの為にはどちらが大事なのかは簡単な事なのですが、その簡単な答えさえ見つけられないほど現在の社会は病んでいるのかもしれません。

 クリスマスには、沢山のちょっとした奇跡や心温まるできごとがたくさんあります。私自身、ローマの空港でのちょっとしたトラブルが、「今日はクリスマスイブだから」の一言で、いやな出来事が愉しい思い出話になったり、事故で夜中にアムステルダムの駅について、みんなにとても親切にされたりと、数え上げればきりがありません。やはりクリスマスには不思議な力と真実と神様の影が見えます。事実としての歴史的な評価は、どうでもいいのかもしれません。今年ももうすぐクリスマスがやってきます。「真実」のクリスマスの意味をしっかりと考えたいと思います。

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