2020年9月20日 聖書:マルコによる福音書4章1~9節 「御言葉を聞くということ」 大薮善次郎牧師

 昔の人は「言霊」(ことだま)と言った。言葉には霊が宿っていると考えていた。河合隼雄氏(心理学者)は「現代人は言葉だけに片寄ってしまって、無意識の世界を忘れてしまっており、色々な問題を引き起こしている。」と言っている。無意識の世界とは魂、及び霊のことである。これは非現実的なようであるが、聖書的である。旧約時代の預言者は常に言葉と霊が一致していた。
 イエスは言葉で人をいやし、導いていった。彼は決して書くことをしなかった。しゃべる論理に立っていた。これはあまり論じてこられなかったことだけれど、イエスの行動にとって大切なことだと思う。
 言葉は発するとすぐに消えてしまう。しかしそれを聞いた人々は、希望としていつまでも持ち続けた。そこから福音が生まれてきたのである。御言葉に聞くということは、霊肉共にある人間としての存在を認識し、生きている喜びを感じて生活することではないか。今朝、復権の塔(宮若市)がある公園(千石公園)を通りながら、服部団次郎先生がどんな思いを持って建てられたのかをふと思った。

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