2021年9月12日 聖書:マルコによる福音書8章27~30節「イエスとは」豊田護兄

 イエスとは、どんな人だった人なのだろうかと考えてみました。大工だったと聞かされていましたし無意識にそうだと思っていましたが、聖書には書かれていないようです。福音書はイエスの死後およそ25年後ぐらいして、多くの伝承や口伝・言い伝えをもとにマルコの福音書が書かれ、その40年後ぐらいしてマタイとルカの福音書が書かれ、その後ヨハネが書かれたと言われています。その時代とキリスト教団の意図を反映しその作者の意図も違い記述の内容も異なったのでしょう。特にマタイとルカにあるクリスマ の話は後に作られたものです。マルコとヨハネでは、洗礼者ヨハネから始まり、キリストがどんな人であるかについては書いてありませんが、これが本当なのでしょう。 

でもその時代に都合が悪いと思った、政治家や宗教者や多くの人々に殺されたことは事実です。それはイエスが、差別された人や 障がい者や貧しい人達の代弁者だからだったからでしょう。ところがルカとマルコでは微妙に立ち位置が違います。例えば、レビについての話でマルコでは「私が来たのは、正しい人を招くためではなく、罪びとを招くためである。」がルカでは、「・・・罪びとを招いて悔い改めさせるためである。」と付け加えてあります。この付け加えが40年後に書かれた意図と目的の違いを表しているのではないでしょうか。罪びと同じ立ち位置か、悔い改めさせる権威の側なのかは大きく違います。私はキリストは前者であるように思います。

このように聖書を読むときには、注意しなければなりません。聖書も人が書いた物で、キリストが書いた物ではありません。歴史は都合が悪い人物を抹殺し、それが難しくなると、自分たち都合が良いように取り入れようとします。キリストが何を述べたのか、どちらの側にたって語ったのかを良く考えて、もう一度聖書を読みなおさなければと思います。

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