2023年2月12日 聖書:ローマの信徒への手紙5章1~4節「希望について」豊田 護兄

 「希望」は、みんなが持てる星です。ギリシャ神話では、パンドラの箱から飛び出したすべての災いの中で、最後に人々に残された唯一の物としています。耐えて修行して得られる様なものではありません。キリストの誕生を告げる星が、貧しい羊飼いや差別された異教徒には見えたのに、豊かな生活をしている人たちや王様には見えなかったのに似ています。

 厳しい生活を強いられて人たちは、毎日が艱難と忍耐の連続で、「生きている」そのものが全てです。一方で「知者の知恵を滅ぼし」と言いながら、この表現は何でしょう。キリストはけしてこのような言い方はしかったでしょう。貧しい文字の読めない人達にいつも語りかけます。一方パウロは、文字が読める豊かな人に向かって話しているように思えます。何せ「手紙」ですから。

 本当に厳しい生活を強いられ「死のう」と思ったことのある人にとっては「希望」は目のまえにある大切な力です。艱難や忍耐をへて「希望」を手にするなど、苦労をしたことのない者の戯言でしかありません。ここがキリストとパウロの違いでしょう。

 先日20年以上寝たきりの一人暮らしの友人と話しました。新しいテレビを買って大喜びで、次の希望はコーヒーメーカーだと話していました。今とても幸せで、このまま静かに死ぬことが最後の希望だと話していました。「死」をも希望に変えるのか。と驚きました。

 この友人のように、しっかりと「希望」を抱いて生きていきたいものです。

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